100年元気に歩ける様、患者様の足の健康、より良い歩行のサポート、アフターケアまで、ニーズに合わせ丁寧な診断と診察を心掛けています。

治療と予防について

扁平足

つちふまずが低下したり、なくなったものを扁平足といいます。
幼児の頃からの扁平足ではあまり痛みはありませんが、中年以降に発症する「成人期扁平足」は足のアーチ(土踏まず)を支持する筋腱や靭帯が傷んで徐々に進行します。内くるぶし付近が腫れたり、痛んだりするのが特徴で、進行すると足の様々な関節が変形し歩行困難が生じるため、早期に診断をつけて進行を予防することが大切です。

<治療と予防>

保存療法で鎮痛薬、装具療法(インソール)、後脛骨筋のストレッチ、足部の筋トレなどのリハビリテーションを行います。重症の場合や保存療法で改善がなければ手術が必要となることもあります。


凹足(ハイアーチ)

足の縦アーチが高くなった状態で、足の甲が高く、甲高ともいわれ、
扁平足とは逆の疾患です。凹足では足裏からふくらはぎにかけての筋緊張が高く、また足部の柔軟性が低下しており、荷重が足先と踵に集中するといった傾向にあります。それにより疲れ易く、難治性胼胝、足底腱膜炎、アキレス腱炎、またつま先重心からの反り腰といった姿勢の崩れから膝や腰痛など足のトラブルが起きやすい特徴があります。
主な原因は遺伝要素、筋や神経の疾患、骨格構造の問題です。

<治療と予防>

症状に合わせての投薬、また慢性の足関節不安定症を認める場合位も多いため、
症状に応じてインソールを作成し、足回りのストレッチやリハビリを行います。


外反母趾

足の親ゆび(母趾)が小ゆび側(外側)にくの字に変形した状態を外反母趾といいます。それに伴い骨や筋肉のバランスが悪くなり、様々な症状を引き起こす進行性の病気です。付け根の関節が内側に突出した部分に痛みが出たり、腫れて炎症を起こしたり、進行すると母趾が第2趾と重なって潰瘍ができたり、母趾以外のゆびにも関節の変形、脱臼を起こしたりします。もともとの骨格の問題であったり、合わない靴の影響であったりと原因は様々です。 

<治療と予防>

足にあった靴を選ぶこと、症状に合わせてインソールを作成し、外反母趾の進行や悪化を予防するストレッチやリハビリを行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します。


内反小趾

小ゆびが親ゆび側へくの字に変形した状態をいいます。外反母趾同様、骨や筋肉のバランスが悪くなり、様々な症状を引き起こす進行性の病気です。原因の多くは遺伝による足の構造異常で、外側に突出した部分が靴で圧迫され、 痛みや炎症が起こります。更に幅の狭い靴で悪化します。またO脚、扁平足、外反母趾等では骨格構造のバランスが悪く、特に歩行時に親ゆび側より小ゆび側に荷重がかかる傾向から内反小趾が悪化、進行していきます。

<治療と予防>

足にあった靴を選ぶこと、症状に合わせてインソールを作成し、内反小趾の進行や悪化を予防するストレッチやリハビリを行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します。


強剛母趾

母趾の付け根の関節に腫れと痛みが生じる変形性関節炎で、軟骨がすり減っている病気です。特に母趾を上に反らせる伸展で痛みが出ますが、重症化すると常に痛むようになります。外反母趾と疼痛部位が類似しているので外反母趾だと思っている患者さんもいます。外傷後や、加齢性変化によって進行することも多くみられます。

<治療と予防>

局所の安静、母趾が圧迫されない、反らせないように靴底の硬い、足にあった靴を選ぶことや、インソールを作成し親指への負担を軽減させます。また進行や悪化を予防するストレッチやリハビリを行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します。


足底腱膜炎

足の裏にあるかかとの骨から足の根本までつながっている足のアーチを支える腱膜組織に炎症が起こる病気です。長時間の立ち仕事や、ランニングなどのオーバーユース、また加齢性変化など、徐々に痛んでくる変性疾患と考えられています。起床時の最初の1歩に痛み、夕方頃に再度痛みが強くなってきます。

<治療と予防>

足底腱膜やアキレス腱のストレッチ、足回りの筋肉トレーニング、アーチサポートのためにもインソールを作成します。難治性の場合には体外衝撃波による治療も有効です。


モートン病

足の神経(総底側趾神経)の障害で、踏み込み時に靭帯と軟部組織で神経が圧迫されて発症します。足の人差しゆびと中ゆびの間で起こることが多いです。ピリピリした神経痛が特徴で、ときに灼熱感もみられす。

<治療と予防>

幅の狭い靴やハイヒール等は避け、足にあった靴を選ぶこと、パッドやインソールを作成し負担、刺激を抑えます。アーチ改善のためにアキレス腱、足回りの筋肉のストレッチやリハビリを行います。痛みが強い場合はステロイドと局所麻酔の注射を数回行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します。


アキレス腱付着部症

アキレス腱と踵の骨の付着部に痛みが生じる病気です。特に足首を上に上げた時に痛み、進行すると安静時にも痛みます。仕事やスポーツ等のオーバーユースでアキレス腱付着部の踵骨周辺が変性する、腱・靭帯付着部症(エンテソパチー)のひとつです。また、筋肉の柔軟性低下、不適切な靴の使用、踵骨の異常等でも発症リスクが上がります。進行にともない石灰化などの組織変化があらわれます。

<治療と予防>

足にあった靴を選ぶこと、インソールでのサポート、アキレス腱を中心としたストレッチやリハビリを行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します。


陥入爪(巻き爪)

爪の端が皮膚にくい込み、刺さる状態です。皮膚が盛り上がって炎症を起こし、傷から細菌感染を起こしたり化膿することもあります。また、巻き爪に合併することもあります。原因の多くが爪の切り方(特に深爪)に問題があります。その他、窮屈な靴やストッキング、足の骨格に歪み、歩行の問題等も陥入爪の原因になります。

<治療と予防>

痛みや赤み、腫れのある爪囲炎の場合は、処置や抗菌薬の処方、また爪の切り方指導を行います。足にあった靴を選ぶこと、テーピングや局所の荷重負担軽減や再発防止に足のアライメントを矯正・補正サポートするインソールの作成、また足回りの筋肉のストレッチ等を行います。重症な場合は手術療法を検討します。


タコ、ウオノメ

主に足の裏に角質が肥厚してできる硬い病変です。胼胝(タコ)は外に向かって盛り上がってきますが、鶏眼(ウオノメ)は内に向かって皮膚の奥に芯ができ歩行等で圧力がかかると痛みます。いずれも足に合わない靴や骨格バランスの崩れ等で足裏への荷重分散が部分的に負担がかかることで発症します。胼胝(タコ)を放置すると皮膚潰瘍から感染症、骨髄炎に至る可能性もあり、早期治療が重要です。

<治療と予防>

角質除去の処置を行いますが、根本的に繰り返さないこと、悪化させないためには足にあった靴を選ぶこと、歩き方の改善や、インソールで改善をはかります。また足回りの筋肉ストレッチ、トレーニングも有効です


ガングリオン

コブ状の中身がゼリー状物質で膨らんだ腫瘍で、多くは良性腫瘍です。関節包由来のものと腱鞘由来に大きく分類されます。はっきりとした原因は分かっていませんが、関節や腱を滑らかに動かすための滑液が、濃縮して袋状にたまってくることで発生する考えられています。腫瘤は軟性〜硬いと様々ですが、基本的には無症状のことが多く自然治癒もみられます。ガングリオンが神経を圧迫するほど大きくなると、痛みや痺れで動作がしにくいといった症状が現れます。

<治療と予防>

腫瘤が大きくなり痛みや痺れ、手足が動かしづらいなどの症状を伴う場合は治療が必要です。腫瘤に注射針を刺して、注射器でゼリー状の内容物を吸引します。 数回この治療を行えばガングリオンが無くなることもあります。再発を繰り返す場合には手術療法を検討します。


こどもの扁平足

人は皆、扁平足で生まれ、足のアーチ(土踏まず)は3〜7歳頃につくられていきます。こどもの足はとても柔らかくて不安定なので、特に足が内側に倒れて踵が外反している「外反扁平足」の場合には運動時にアーチ構造を生かした動きができないために、疲れやすさや怪我を引き起こす原因となってしまいます。外反は成長とともに改善してきますが、個人差はありますが、3,4歳頃になっても改善がみられない場合は扁平足のまま成長する可能性もあるので注意が必要です。また、成長とともに小児期でも外反母趾がでてきたり巻き爪(陥入爪)や足裏のタコなどのトラブルが起こりやすくなります。

<治療と予防>

足回りの筋肉ストレッチ、トレーニング、足にあった靴を選ぶことも大切です。また、外反扁平足は生まれつき関節が柔らかいことも多く、成人しても続くことから装具療法(インソール)を行います。


シーバー病(骨端症)

踵骨の骨端症で10歳前後の男児に多く見られる病気です。踵骨後方の骨端核は骨端線が閉じるまで脆弱で、活発な運動等でアキレス腱と足底腱膜双方の繰り返される牽引力によって微小外傷が生じて発症します。踵の腫れや痛みが特徴で、基本的に予後良好です。 

<治療と予防>

安静や運動制限を行えばほとんどが改善します。鎮痛薬の投与、サポーターやインソールの装具療法、ヒールのある足にあった靴を選ぶ。またアキレス腱や足底腱膜の拘縮によっても牽引されるため、アキレス腱や足底腱膜を中心としたストレッチやリハビリを行います。


有痛性外脛骨症

外脛骨とは足の舟状骨の内側に存在する副骨(正常の約10%)です。多くは骨の出っ張りがみられるだけですが、捻挫や運動負荷などを契機に痛みを伴うようになった病態を有痛性外脛骨と言います。足のアーチを保持する後脛骨筋腱の付着部に生じるため、扁平足との関連性も指摘されています。多くは10〜15歳前後のスポーツ障害として起こりやすいですが、成人になってから発症することもあります。

<治療と予防>

運動の中止や調整、足にあった靴を選ぶこと、アーチサポートのためにもインソールを作成し、疼痛へは鎮痛薬の処方を行います。また足関節周囲の筋機能改善に長腓骨筋、下腿三頭筋、後脛骨筋や足回りのストレッチやトレーニングを行います。保存療法では改善が難しい、重症な場合は手術療法を検討します